こころスマイルの初公開絵本
介護という仕事に就いて経験した
『 命 』 の大切さと 『 感謝 』の心・・・
大好きな、施設入居者の
ばぁちゃんとの実話をユビで描きました
『 世界でいちばん大きな ありがとう 』
絵: こころスマイル
文: こころスマイル
介護の世界に飛び込んですぐの頃・・・
僕には大好きな、大好きな ばぁちゃんがいた
僕は仕事に出るたびに
『ばぁちゃん来たよ』って話しかける
ことが日課で
言葉は出なくても、優しく手を握ってくれる
そんな ばぁちゃんの存在が
たくさんの不安やプレッシャーを
解かしてくれていた
けれど、少しずつ仕事に慣れてきた僕は
いつしか大好きなばぁちゃんに
『 忙しい、忙しい 』って
話しかけるようになっていた
やがて、ばぁちゃんより
先輩や後輩と話すことが多くなり
時計の針とにらめっこするようになり・・・
手招きしてる ばぁちゃんに
背中を向けるようになっていた
さらに、仕事が忙しくなるにつれ・・・
ばぁちゃんから表情は消え、
手招きする姿は見なくなった
そんなとき、僕は仕事で大きな
失敗をしてしまい
ひどく落ち込んでいた
周りが見えず、ふさぎこんでしまった僕は
ばぁちゃんのいる部屋へと向かっていた
久しぶりにばぁちゃんに話しかけると
いつも通りうなずいてくれたけど
もう手は握ってはもらえなかった
バカな僕は、そのとき初めて
ばぁちゃんの身体が
小さく細くなっていることに気付いた
ばぁちゃんとの空きすぎた距離を
埋めたくて・・・
その日からまた前のように、
僕はばぁちゃんに話かけた
『 ばぁちゃん、聞こえる? 』
『 手、握ってょ 』
数日後、ばぁちゃんは
救急車の中へ吸い込まれていった
末期のガンだった
全身の力が抜けて、
頭の中は真っ白なのに
こころの中は、
真っ黒な穴があいていた・・・
あまりの自分の愚かさに、
悔しくて、悔しくて
空いたベッドに『 ごめんね 』って
冷たい涙を落とすことしかできなかった
そんな駄目な僕を慰めてくれたのは
先輩や後輩・・・大切な仲間たちだった
『 涙の分だけ 強くなれ
傷付いた分だけ 優しくなれ
打たれた分だけ 大きくなれ
負けたくないなら 強くなれ
転んだら 何度でも立ち上がれ
そして笑顔で 歩き出せ 』
僕は少し顔を上げてみた・・・
ある晴れた日曜日
僕は大好きなばぁちゃんのいる
病院へ向かった
病室に入った僕の目に映ったのは
細い身体には似合わない
太いチューブに身をゆだねた
小さな ばぁちゃんの姿だった
あまりの変わり果ててしまった姿に
僕はまた背中を向けそうになったけど
僕に気付いたばぁちゃんは
痛みきったその上半身を
必死で起こして、力強く口を開いた
『 ありがとう 』
僕は、ふるえるばぁちゃんに飛びついて
大声で泣いた
初めて聞いた、ばぁちゃんの『ありがとう』が
『 しっかりしなさい 』に聞こえて
何度も、何度も・・・ばぁちゃんの胸で泣いた
次の日曜日
ばぁちゃんは病院のベッドの上には
もういなかった
見上げた空は 澄み切った青空で
不思議と涙は出なかった
小さく息を吸い込んで
僕は一歩、前へ歩き始めた
世界で一番大きな
『 ありがとう 』をくれた
大好きな ばぁちゃん
ばぁちゃん ありがとう
今日、3月8日は
大好きな、ばぁちゃんの誕生日(‐^▽^‐)
ようやく、ばぁちゃんの絵本を
公開するコトができました
空に向かって、手を合わせて
・・・『 ありがとう ばぁちゃん 』・・・(-^□^-)
ここまで読んでくれて
本当にありがとうございましたヾ(@^▽^@)ノ
こころスマイル